新食魂島

王様は裸です、と叫びたい夜。

レガシーのデッキを安く組むために:MTG

MTGにおけるレガシーというフォーマットは、MTGの始まりから現代にいたるまでの全カードのうち、いくつか強すぎる(またはカードゲームの概念から外れる)カードを禁止にしているが、ほぼほぼすべてのカードが使用することができるレギュレーションだ。

おいおい禁止カードかよ、と思われるかもしれないが、禁止カードを作ることをせず代わりに1枚制限にすることでバランスをとっているヴィンテージとごちゃまぜにされてしまう。それによって引き起こされるのは異様なデッキ価格の高騰だ。

通常、MTGにおけるスタンダードレギュレーションで、デッキを組むには5万程度あれば十分とされている。もちろん安く組もうとすれば安く組めるのだが、まあ5万もあれば大体のデッキは出来上がる。

いやこの時点で大分おかしいだろと思われるかもしれないが、カードゲーマーは無惨様も唾を吐きかける異常者どもの集まりなのでこんなことは気にしない。

スタンダードに次ぐパイオニア、モダンではおおよそ7万円、15万程度あれば十分に強いデッキを組むことができる。

 

ところがレガシー、ヴィンテージではそうはいかない。20万でデッキ完成させてというとしよう、レガシーでは格安デッキしか組めないよと言われ、ヴィンテージでは1枚のカードを購入することができませんぞと鼻で笑われる。

そこにはたかが紙切れ1枚に平然と10万円、ポンっと払うぜなどとぬかす、金持ちなのかバカなのか、おそらくは金持ちのバカがそこにいるだろう。

 

率直に言って頭おかしいのだが、しかしこれはどうも、狂気の沙汰ほど面白いのもまた事実。そうレガシーというフォーマットは面白いのだ。ちなみにヴィンテージはぶっ壊れすぎてもはやわけがわからないものだ。そのうちやってみたいとは思っているが。

 

さて、レガシーというフォーマットにおける超高額カードの代表例を紹介しよう。

それはデュアルランドと呼ばれるカード群で、なんと日本語名のカードが存在しない。

MTGのカードで日本語版が発売されたのは1996年、第4版とミラージュというカードパックから(間にアライアンスが入るがこれは日本語版がない)なのだが、デュアルランドはこれより前の第3版、リバイスドエディションまでのセットが最後の収録となっているからだ。

 

MTGにおいて、一つの土地から二色の色を出せる、というのは基本的にデメリットがある。出したターンにはタップされていて使えなかったり、ライフを払わないと出したターンに使えなかったり、ライフを払わないと色をだせない、など・・・・

デュアルランドにはそういったものがない。何のデメリットもない、それだけでこれらのカードは頂点にいられるのだ。

そしてそのお値段は、一番安いPlateauの状態の悪いもので3万円、人気のvolcanic islandで10万円、もちろん状態の悪いものだ。

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さてこのゲームにおいて土地は「ケチろうと思えばいくらでもケチれる」ものだ。最悪基本土地と呼ばれるパックを買えば必ずついてくるものだけで構成しても何ら問題はない。たとえば白のカードを出したいけど白いマナがでる平地がなくて、カードを出せない、という事態もあるかもしれないが、基本的には本当に問題ない。

このゲームでは土地は「ソシャゲのガチャ限定キャラ」のようなものだ。あれば快適に遊べる。ただそれだけのものだ。

 

ただそれだけのものだからこそ、3万なんて出したくないのよ、なくても死なないのよ。

レガシーを格安で組むにはこのデュアルランドを使わないという暴挙をいかに正当化するかがキモになる。

回避方法は3つ、基本土地であることがメリットに働くカード、例えばもなにも「血染めの月」と「基本に帰れ」しかないのだが、これを採用すること。

2つ目は死者の原野を使う都合上、土地の名前を散らす目的をつくること。

3つ目は最初に言った基本土地だけで本当に問題ないデッキ、いわゆる単色デッキを組むことだ。

 

だがまだ問題はある。レガシー、ヴィンテージでは青がひどく支配的だ。パワー9のカードでアーティファクトでないものは全て青のカードであることからもいろいろ察してほしい。

問題の原因に、使うカードが青いことのメリットに、意志の力というカードの存在することが大きい。

このカードは超シンプルな効果、相手の呪文を1つ打ち消す、だ。ちなみに打ち消すだけでいいなら50円のカードでも可能だ。

意志の力の強み、それはマナを支払うかわりに手札の青のカードを捨て1点ライフを払うだけでよくなる、コストの差し替え能力だ。ちなみにマナを支払う代わりにカードを捨てることをピッチコストという。

意志の力は先ほど挙げたアライアンス初出のカードで、何回か再録されているため日本語名が付いている。それで値段も落ち着いている、1万はするが・・・

レガシーで強いデッキを組もうとするとどうしてもこの青という色を使うことが多くなる。レガシーは意志の力4枚を集めるところからという意見もある。

 

このカードを使用しないためには、そもそも青という色を使用しない、もしくは使用するとしてもこのカードの強さである、ピッチコストが必要という部分を、そもそもの枚数が少なくてピッチコストがないという事態が頻発してしまうために採用しないという言い訳を成り立たせる必要がある。

まあいつでも入れるスペースがあるわけじゃないと言い訳すればいいだろう。

 

カードゲーマー、というかオタクという生き物はどこかよくわからないところで真面目だ。レガシーをやるにはデュアルランド必須、意志の力必須だと思い込んでいる。

実際はなくてもどうにでもなるだろうし、そもそもどうにかするのがデッキビルディングの一番楽しいところだ。

レガシーだけでなくスタンダードでもそういった思い込みは捨てるべきだろう。

カードゲームは楽しい時間を送るためのものだ、金がないから楽しめないと思うよりまずはやってみたほうが楽しいと思う。

レガシーはMTGの歴史(失敗も含めて)そのものだ。その歴史を自分で体感できないのはもったいない、私はそう思う。