新食魂島

王様は裸です、と叫びたい夜。

どうしてもぬぐえなかった違和感:映画トムとジェリー

ようやくレンタルが開始され、見ることができた今作。本当は映画館で観たかった。

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トムとジェリーは、皆さんご存知だと思う。カートゥーンというアニメーションだからできる、ぶつかったモノと同じ形になる、普通口に入らないものが入ってやっぱり体の形がかわる。普通にやれば死ぬようなことでも死なない不死身さなど、リアルでは気持ち悪くなりそうな変化がおきたりもする。

それがトムとジェリーだ。

そしてトムとジェリーの関係は、「喧嘩はする捕食しようとする、でもたまに共闘する」という奇妙な友情で結ばれている。

 

今作はそれを無視したかと言うと、そうではない。むしろ原作のような表現を多用する。アニメや漫画を実写化した邦画のような、原作へのリスペクトの欠片も感じさせないクソ作品とは明らかに違う。

原作への愛であふれていると言える。

ストーリー自体も単純な作りで、読後感もさっぱりしている。

正直ファミリーで見るなら、大人から子供まで十分楽しめる出来栄えだと思う。

 

それでも私はこの作品をとても良いものだとは評価できない。

ストーリーが単純ってことは先が読めちゃうから? NO。

映像がチープ? NO。

 

私が違和感を感じた点、それは実写部分に描かれたアニメーションが自然すぎることだ。

正直トムとジェリーにおける乱痴気騒ぎはリアルに置き換えると

 

家じゅうの鏡がすべて割れている。開けっ放しのままの冷蔵庫、壁に刺さった刃物、巨大な穴がリビングに空いてる

 

などと、相当ヤバイのだが。

アニメではそのような被害があったところが二度映らず、それは壊れるだろというシーンで壊れない、のような、ある種の都合のよさがあり、またアニメーションだから別に壊れても構わないよねという赦しもある。

 

ところが実写にするとそういうごまかしができない。2人が滅茶苦茶にした部屋はリアルでボロボロだし、倒されたケーキも倒されたままそこに存在している。

その生々しさに私は引いてしまったのだ。

アニメならギャグですむところを、ギャグですまなく見えてしまった。カートゥーンの世界の二人が、現実に現れた結果とってもディザスターなのだ。

 

結局私は素直に楽しむことができなかっただけなのだ。作品は面白かった、そう思う。

 

あ、スパイクのようなお決まりのキャラからドルーピーのようなレアキャラまで出ていたのは素直に興奮しました。

スパイクがNYの一等地の交差点でうん〇するシーンなのですが、メイキング映像でブルーの全身タイツを身に着けたおっさんを本当にリードにつないでとっていたのは草生え散らかしました。