私は信州は上田、東信の民なり。長野を4分割すると、大体の人が長野の都市の配置など知らないとは思うが、
更埴、長野、須坂、中野あたりを北信
大町白馬、どこまで南下するかはわかんないがそのあたりが中信
伊那、飯田当たりの南信
そして上田、佐久、軽井沢あたりが東信である。
面倒なので細かくは地図をみてくれ。
かつての長野では、高校でも進学人数の割り振りがあり、学区をまたぐ場合の人数にはそれなりの制限があった。(はず)
その制約が緩くなったのがたしか自分の代だったのだが、それでも大抵の生徒は上田市内の高校に進学、優秀な生徒は上田高校(サマーウォーズの陣内了平の学校、ちなみにここ20年で甲子園の出場はない)、または佐久長聖(野球や陸上で有名ですね)、並みなら染谷が丘、上田東、その他もろもろに進学する。ちなみにここ数年甲子園にも出場、阪神のドラ7ルーキーを輩出した上田西だが公立ではなく私立で、また上田駅からではなく上田西駅から行くばぶれもんである。ちなみに学食はクソまずかった。
そんな私も市内の高校に進学するのだとまわりからは思われていたが、私は北信地区のある高校を選んだ。そのことで友人と大喧嘩したのだがそれはまた別の話だ。
上田から篠ノ井(信越線と合流)まで40分、長野までは60分かかるわけで、朝の起床がクソザコレベルの私がなぜそんな遠いところを選んだか。
理由は単純だ。
中学のクソどもとなるべく距離を置きたかったからだ。
私の友人もそういった理由だろう、彼の中学のクラスをみると今にしてみれば彼がいかに苦悩してたかが想像に難くない、彼は高専を選んだ。ちなみに彼の家からは2時間ちかくかかる。
都会のお住まいの方にはわかりづらいかもしれないが、田舎には私立中学という選択肢は基本的にない。私の時代に存在したのは佐久長聖の中等部だけで、そもそも私立受験という選択肢がないので、私もそのことについては深く考えたことはなかった。
つまりそれがどういうことかというと、自分の周りのくそったれのゴミ共と時間を共有することを強制されるということだ。
そして、卒業前に起こったある二つの出来事は純朴な青少年であった私の心を凍てつかせるのには十分な物であり、その凍った心のまま私は高校へ進学した。
高校入学にあたって、普段履きの学校指定サンダルの購入を忘れて、母に頭を下げ、1時間以上の時間をかけ車で買いに行ったのは密としておこう。
さて入学して数日、名簿順に並んだ座席、さぞ機嫌の悪そうな顔の私に話しかけてくれたあの2人には本当に感謝しかない、今でも良い友人だと私は思っている。
冷たく暗く生きようとしてた私は彼らに光明を見出し、少しは明るく生きようと思えるようにはなったころ、私はある異変に気付く。
ものすごく視線を感じる。その視線の先にこちらも目をやると、3人の女子が色めきだっていた。
別に隠しているわけではないが、高校生の時の私は今より20kgは痩せていて、さらに日本人っぽくない見た目、いってしまえばイケメンであった。
冗談めかして痩せれば俺はイケメンだと言い張っているが割と真面目に言っているのだ。
そんな彼女たちが先の友人たちに話しかけている、なんのこっちゃと思いつつも家に帰ると、メールが届いてる。
その彼女たちからのメールである。
いや人のメアド勝手に教えんなやとは思ったが、求められるというのはとてもいい気分なものでそんなイラっとした気持ちは消えていった。
とはいえだ。
女子と何メールで会話すればいいのかわからん私は基本待ちのスタイルをとることにした。
ある朝、目覚めたら一通のメールが届いてた。「私たちの挨拶は●●なの!」と書いてあった。
意味が分からん。しかも深夜の2時にこのメールが送られてきた。
こんなわけのわからん内容を、非常識な時間に送る、なんなんだこの女と思った。
その彼女だが情報の時間で異様なスピードのタイピングをしていたのを覚えている、まだパソコンが一般的でない時代だったのでなんかドンビキした。
女ってよくわかんねーなー、と思いながら相変わらず待ちのスタイルの私だったが・・・正直自分から送ったメールを思い返すと「これはない」な内容ばかりなので待ちでよかったんだと思うことにした。
さて2か月ほどたち、ちょうど今くらいの時期、文化祭の準備といった頃合いだろう、そのころには私のメールアドレスは完全にフリー素材と化していたようで、あまり親しくないやつからも「登録ヨロ」メールが届いていた。
傑作だったのは、あるオタク女子からのメールである。彼女の風貌は・・・メガネに片目隠れのキタロースタイル。まごうことなきオタクである。
そんな彼女からのメールは
「食魂氏は2ちゃんねらーでござるか?」
・・・
・・・・・・
うん、いやまあ否定しないけど、FLASHとか好きだったよ?ていうかテンション高いね君。クラスでもそれくらい大きな声でしゃべればいいと思うよ。(彼女の名誉のため言っておくが彼女はぼそぼそ系陰キャではなく、特定のジャンルにだけ声がでかくなっちゃう系オタクだと思います)
ちなみにその当時のワイはDQ小説同盟を読み漁る系のオタクだったが、誰かとそれをシェアするとかそういうタイプではなかったのを付け加えておく、あの当時の私は今と同等レベルの活字中毒だったので。
さて。そんなこんなで1年がたった。2年からはクラスを再編することになっているので、クラス替え。うん話せる奴もいるな安心安心、ってこいつと同じクラスか不安だとも思いつつ教室に向かうのであった。その不安の元凶は遅刻の常習犯で、1年の授業開始日ののっけから遅刻してくるというインパクトある行動をかまし、私の脳裏にはそいつの名前が焼き付けられた。さらにいうなら文化祭でメイド服きて女装して、という大変変態なアグレッシブナードである。彼の中でその高校時代の奇行はどう思い出に残っているのか、問い詰めたいものである。
ところで、さきほど、女子からのメールは待ちに徹するといった。
その結果だが。
メアド登録よろー、メールから一切のメールなしだった。
ただしくは2,3やり取りがあった相手もいるのだが、本当に一切のやり取りなしという人もいた。
というか彼女たちとサシで会話したことがない。話しかけなかったし話しかけられなかったからだ。
一体なんだったのだろう。
いやこれは一つ推測がある。俺は高校は文化班を選択したのだが、ある時その班の女の子と帰りで一緒になったので、声をかけ一緒に下校した。その時の下校ルートというのはテニスコートをとおらなければならないので、周りに見られていたのだろう。それでなんか冷めたとかそういうのではないのだろうか。
その子も結構俺との仲を勘繰られたのか、「そういう関係じゃないよ」的なことを言っていた。
なんでそれを俺が知っているかというと、その子が間違えてそのメールを俺に送ってきたからだ。
他人の悪口言うメールを、うっかりその本人に送っちゃうあるあるなやつだ。
つまり結局はだ。
フリー素材のように扱われていたのは、メアドでもなんでもなく俺自身だったということだ。
それに気づいた俺は一つのoathを立てることにした。
もう女なんて信じない。