日本政府に韓国の地裁が慰安婦に対して賠償金を支払うよう命じた、という記事をみて思ったことがある。
この判決に対し、韓国外務省は「日韓の間には不可逆の合意がなされている」という事を確認し、そのうえで慰安婦問題は普遍的な国際人権問題である、と示している。
そのうえで政府として日本政府に要求することはなく、あくまで個人において、その問題提起の権利を阻むことはできない、と主張している。
これにお怒りなのが、ご存じヤフコメ民、いわゆるネトウヨとでもいえばいいのだろうか面倒なのでアホの皆さんと呼ぶ、である。
アホの皆さん曰く、
「不可逆とはなにをどうしても覆らないという意味であり、韓国政府はルールを守れないアホだ」
「断交だ(小学生の言う絶交感覚」
「日本は努力しろとバカの一つ覚え」
だそうだ。
断交、などというのはあまりに穏やかでなさすぎる。日本に住む韓国人、韓国に住む日本人の数、文化の交わり、互いの企業の進出具合を考えればもはやそれは不可能だろうし、さらに言うなら北朝鮮という火種がある以上、無駄に敵を増やす必要はないだろう。
いやお前が敵を増やすなとか草生えるとか言いたいのは分かるが。
ともかく敵を増やすメリットは一切ない、互いに嫌いあいながらでも表面上取り繕うことくらい国家間ではたやすいことだろう。
きらいなあんにゃろうを損させるため自らを損させる必要はない。むしろ多少得をさせても己にさらなる得があるのならそうすべきだろう。なにもマイナスの方に向かってよーいドンする意味はない。
とはいえだ、不可逆の合意を無視する韓国政府を批判する気持ちは十分に理解できる。
ただ、一歩だけ下がってよく考えてほしい。
この問題というのはもはや感情論の面でしか議論の余地はないことを。
例えば、あなたがあなたの嫌いな奴(テキトーな奴を浮かべよう、私はアフロのチビデブハゲにしました)に殴られ、左が全身やられちまったとしよう。
あなたは当然むかつくでしょう、そいつのことを思いっきり殴り返してやりたい、そう思う間もなく、自分の周りにいた親に止められる。
そして親同士の話し合いで「ほら、握手」とされるのだ。そしてその周りにいた他の大人が「なんで仲直りがすんだのに文句言っているんだ」というのだ。
まるでこれだよ
慰安婦問題というのはこれなのだ。
いくら国家間で合意が起きようと感情までは否定できない。もし
「国家の間で合意を得たんだね!今日から慰安婦の主張するのやめるよ!」とでもなったらそいつは間違いなく月島さんに斬られているだろう。
韓国には「恨」(ハン)の文化は根強い。歪められた儒教と、歴史的コンプレックスが彼らにそうさせるのだ。
そして歴史的コンプレックスの少ない日本人はこう思うのだ。
「何をねちっこくいってるのだ」と。
その通りねちっこいのだ。それがそもそも韓国という国なのだ。
日本人がそういった韓国の行動に対し、憤りを覚えるのも至極真っ当だ。他国でも中国、韓国のやり口が反感を抱かれているというのもよく聞く話だ。ある意味、韓国というのは弱いのだ。そして成長をしようとする人間はその弱さが嫌いなのだ。
しかし、私は韓国人はアホだなどとは思わない。背景を考えれば理解できることだし、アホだったら自文化を他国に広く広めることなどできないからだ。
同様に韓国政府もアホだなどとは思わない。というか思いたくない。
反日というのはわかりやすい国民誘導のプロパガンダであるし、先ほどの恨の文化的に合理的、理性、言ってしまえば正論でそういった戦争時代のご老体を説得するのは不可能だ。
そして二次世界大戦後の大いなる恨のこもった教育をうけた世代も変わらない。
しかし若い世代ならどうだろう、彼らはそういった行き過ぎた恨を持った教育をそこまで受けてないだろうし、それについて疑問に思う世代だ。戦争時代のご老人のことなど、よくわからないのだから当然だ。そこは我々と同じである。
もしあなたが小さな子供だとして、あなたの親に、あなたの主張は聞き入れられません、もうどうしようもないです、などと否定されたらどうだろうか?
おそらく立ち上がれないだろう。そこを否定するのはあまりに哀れだ。
戦時、戦後世代というのはこれからの時代、どんどん減っていく存在だ。
韓国政府が「国家として要求するつもりはない」との姿勢を打ち出したのは韓国の司法と行政が分かれていると思える。
それと同時に慰安婦側に慈悲を与えているとも解釈できる。
いやまあ、なら日本が払った謝罪の金、慰安婦に渡せよとかそういう議論もあるけども、そこは我々の知ることではないのでうん。
私の憶測ではあるが、韓国政府はTOD、タイムオーバーデスを狙っているのではないか。
少なくとも今後10年、20年で韓国の恨が消えるとは思えない。
それでも30年40年先にはそういったものは和らいでいくだろう。それまでのらりくらり、というのが感情論問題の収束には必要だろう。
と、一応理屈立てて解釈はしてみたが、この期待を裏切られないことを祈りつつ俺は寝る。