教育学部というのは本当によい学部だ。
単位条件さえ満たせば、私のような社会不適合者でも学校の教壇に立ち子供を指導する権利を与えてくれる。
私の場合、教育学部という選択肢は間違ってなかった、そう信じたい。
いやだが、数学科という選択は間違いであったと言わざるを得ない。
論より証拠でまずはこれをご覧いただきたい。
なんだこの雑魚い点数は。
おそらく同期のセンター数学のスコアで最下位ではないだろうか。
これはこんなスコアで数学科という魔境を選んでしまった男の話である。
とはいえ、実のところ高校までの数学と大学での数学には大きな乖離があり、数値計算力がものをいう高校までのそれと、厳密さをとことんまでに追及したり、厳密なうえでのファジィを考える大学のそれはほぼほぼ別物だ。
理学部の数学科でなく教育学部の数学科なら数ⅡBまでの範囲で受けられるところもあるので、数Ⅲの履修はマストに近いが完全にマストではないのは心に留めておくといいことがあるかもしれない。
しかし数学科に入ることを選択するうえで数学が好きであることは必要だろう。そしてある程度数学ができることもマストだ。むしろこちらの方が重いかもしれない。
ある程度の能力がないと何が起きるかというと、何も起こらない。その理由は簡単、何もできないからだ。結果として留年退学においやられる。
数学には大きく、解析、代数、幾何の3ジャンルにわけることができ、解析の中に統計、確率論などがあるが、最低限の能力を持たないと、3ジャンルに存在する講義、5か6くらいだろうが、すべてに落単する。楽単ではない。
私も多くの講義に落ち、4年まで専門科目単位が足りない状況においやられた。もし私に全く能力がないのならあきらめがついたのかもしれない。転科するという選択肢を持産まれただろう。しかし私は中途半端にできなかった。特に幾何分野で大きな苦手を作り、解析では偶関数、奇関数の区別がつかず、なにより定義が覚えられなかった。
そしてとどめに3年後期よりの不眠症である。留年はしたくないというプレッシャーと眠れないことによる不摂生、授業に出られない恐怖、それらは私の精神を大いに破壊した。
とどのつまり、私は弱かった。ひのきの棒でバラモスを倒そうとしたおろかな勇者だった。
どういった人が数学科に向いているのだろうと、自問してみる。それはおそらく高校時代に自作の問題を作るタイプの人間なんだろうと。
私は与えられた箱庭で踊る孫悟空でしかなかった。いつ外の世界にでられるのだろうか