間違えました。
遊戯王においてHEROモンスターとは、アニメ「遊戯王GX」の主人公、遊城十代とエド・フェニックスの使用するモンスター群である。
十代はE・HERO(エレメンタル)、闇落ち時にE-HERO(イービル)、エドがD-HERO(デステニー)を使用する。
十代は融合という魔法を「HERO同士のつながり」とし、融合モンスターをくりだしていき、敵をバッタバッタ倒していくのだ。
ああ、中黒とハイフンで扱いが変わるので熱狂的信者の前ではHEROとだけ言うのが無難だ。またエド役の石田彰氏はガンダムSEEDのアスラン役を演じていて、その彼がデステニーデステニー連呼するのも何か因縁めいたものを感じる。
さて、今回のダークロウはM・HERO(マスクド)と呼ばれる、漫画版十代の使用するモンスターだ。
マスクドの名前の通り、魔法カード、マスク・チェンジでしか場に出すことができない制約があるかわり、通常の融合のように2体以上のモンスターを用意する必要がない、条件さえそろえればリソースの消費が少なく済むように作られている。
なんで漫画とアニメで違うのさ、というと漫画版はオリジナルモンスターを使ってほしいとのことだったらしい。影山くん・・・
マスクチェンジではチェンジ元のHEROとチェンジ先のHEROの属性を合わせる必要があるが、E・HEROにはエレメンタルの名の通り様々な属性のモンスターがいるのでそれぞれに対応したチェンジ先のHEROを用意することでどんな場面でも強力なモンスターをだせるというわけだ。
融合HEROモンスターの性質、モンスター効果に触れていくが、基本的には殴ることに特化した性能になっている。
相手の攻撃力をダウンさせる、場のカードを手札に戻す、破壊するといった、いわばカウンターで殴るというのが基本だ。
そりゃそうだ、主人公がハンデスしまくるとか、デッキデス狙ってくるとかさすがに絵面がヤバイ。遊戯王主人公の戦術は陽キャのものでなければならないのだ。
肝心のダークロウだが、なんと漫画版では効果がないただのバニラモンスターだった。
ただの攻撃力の高い案山子でしかなかったのだ。
そしてこれがOCG化されるに際し、効果が付与されるのだが・・・それは後程。
このマスクチェンジのギミック、実はカード化された直後は
「チェンジ後のモンスターが少ない」
「マスクチェンジをサーチする手段がないので戦術に組み込みにくい」
「そもそも融合しても勝てない」
などといった悲惨さを抱えていた。
この当時は5D’sの時期、つまりシンクロ召喚が全盛期で、サモサモキャットベルンベルンだったわけで・・・なんの展開札もないHERO、一応ヒーローアライブがあったが、本当に出したところで何も仕事しないので実質死に札であった。
ところが、ZEXALにおけるエクシーズ召喚の導入はHEROに一筋の光を与えた。
そしてHEROからランク4が充実してくると環境デッキにも名前を連ねるようにもなった。
当時のワンキルルートで
アライブからエアーマンSS(特殊召喚)→バブルマンサーチ→あらかじめデッキに入れるモンスターを減らすことでバブルマンの特殊召喚をしやすくしておいてバブルマンを出す→機甲羅忍者ブレード・ハートSS効果でエアーマンを墓地に落として二回攻撃可能に→戦士の生還でエアーマンを戻す→エアーマン通常召喚バブルマンサーチ→バブルマンSS→H-CエクスカリバーSS→2200×2+4000でワンキル
というのがあったがこれが割と高い確率で決まるので恐れ入る。
しかしこれは後攻で強いデッキであって、その当時の潮流である先攻でカードをだして相手の動きを封殺する、という動きはできなかった。
どこまで行っても脳筋で、またそれでいいと思われていた。
あの時までは。
2014年5月のこと、私はバイト代が入りホクホクになっていた。そしてその金で以前から欲しかったこのカードを購入した。
このカードは別段超強いというわけではない、しかしその当時3500円はザラで販売されていた。
理由は明快、このカードはVジャンプの定期購読でもらえる希少性の高いカードだったからだ。
しかしその当時からHEROを愛用していた私にはどうしても欲しいシロモノ、そりゃ買う時は若干ためらいがあったが、購入した喜びは格段のものだった。
その二日後くらいにHEROをテーマとした構築済みデッキに再録されるのを聞くまでは。
そしてこのデッキは今までのHEROの常識を覆した。
シャドーミスト。このカードが特殊召喚に成功したとき、マスクチェンジと名のついたカードをサーチできるという、いままでのマスクチェンジの欠点であるサーチ手段というものが用意されてしまった。
それだけならよかった。
このシャドーミストは闇属性なのでこのカードからダークロウを出すことをできる。もう一つの効果はマスクチェンジをサーチした場合使用できないが、ターンをまたぐことで使用できるので、このカードからダークロウをだすのは相手ターン中というのが基本であった。
さてダークロウ君の効果を見てみよう。
・・・なんでHEROが制圧系の効果もってるんですかねえ・・・。それもどえらいレベルの嫌がらせをしてくる。
このストラクチャーデッキは本当に革新的でこれを3つ買えばちゃんとしたデッキが作れるほどだ。
だからってこれは・・・
案の定、ものすごくヘイトを買った。しかしこいつ単体だけならHEROデッキからでてくるだけだし・・・
そんなことはありませんでした。このカードは手札1枚を引き換えに、元のモンスターよりレベルの高いM・HEROを出すことができてしまう。なによりデッキを選ばない。
こいつのせいで闇属性が入るデッキならとりあえずこれ入れといて困ったらダークロウである。
はい、すさまじいヘイトです本当にありがとうございました。
この後HEROは餅カエルという相棒を得て、余計にすさまじいヘイトを買うのはまた別の話。
このように使い手からは愛され、使われる側からはキレられるダークロウ、実はずっとHEROデッキを使用し続けている私のデッキから一度だけ抜けたことがある。
カードパワーは強力だが出せなければ意味がない、というのが理由だった。
そして今はかなり安定して出せるようになったので復活した。
こうして今日も俺はヘイトを集めるのであった